この記事では色を起点としたデザインの作り方を解説します。
配色はデザインでいうと後半にくる工程で、まずはラフデザインやレイアウトから入る場合が多いと思います。
しかしながら、使う色があらかじめ決まっている場合、例えばコーポレートカラーを基調にしたデザインをすることが通例になっている、クライアントからの要望で色の指定があることもあります。
そういった場合にどのようにアプローチしてデザインを作れば良いのか、応用が効くように基本的な考え方の部分から確認していきましょう。
色から考えるデザインの基本は連想から
もし原稿内容にその色とデザインを紐付けるような事柄が入っている場合には、そのとおりデザインをしていけば良いでしょう。
そうでない場合が大半かと思いますが、まずは連想することから始めていきます。
○○色と言えば何?からアイデア出し
テーマとして設定された色を聞いて思い浮かぶことを次々に挙げて書き出していきます。何も難しく考える必要はありません。
その色を持つ身の回りの品物から挙げていきましょう。そんなに難しくないですよね?どんどん出てくるのではないでしょうか。
次に書き出した内容から、今回のテーマとマッチしそうなオブジェクトなり、事柄をまとめ、さらにそこからデザインのアイデアを膨らませていきます。
今回は大まかに分けた有彩色と無彩色から連想される事柄と、そこから作ることができるデザインのサンプルを作ってみました。
赤をベースにしたデザイン
色を起点としたデザインの1つ目は、赤からいってみましょう。
赤は目立つ色なので、身の回りにある赤いものはすぐに出てきますよね。日本の国旗も日の丸で白地に赤い丸ですね。
食べ物でも、りんごにイチゴ、トマトにパプリカ。赤いバラにチューリップ、コカ・コーラも赤いパッケージですね。
季節ではクリスマス。サンタの赤いコスチュームに赤鼻のトナカイ。プレゼントに付けるリボンも赤いものが多いですね。包み紙にも赤いチェック模様のものも。
さらに赤に合う色を思い浮かべると、コカ・コーラの赤い地に白抜きの文字、クリスマスの赤にツリーの緑、鈴のゴールドや黄色などもマッチしますね。
いろいろ挙げていくうちに具体的なデザインの方向性も見えてきたのではないでしょうか。素材を集めて、組み合わせてレイアウト、さらにマッチする色を使って配色までしてみましょう。
作例では背景を赤くして、赤に合う色で全体を配色しました。背景を赤の単色でベタッとさせてしまうと寂しいデザインになってしまうので、ディテールのある背景を持ってきました。
オレンジをベースにしたデザイン
次にオレンジいってみましょう。オレンジは色の名前がそのまま果物の名前ですね。
果物のオレンジは一口にオレンジといっても一色ではありませんね。皮から実まで、濃いオレンジから薄いオレンジ、黄色から白へのきれいなグラデーションが思い浮かびます。さらに葉っぱが少量の緑となり、差し色としてもってこいですね。
空に見える太陽も色としてはオレンジでしょうか。燃え盛る炎もオレンジですね。
ミツバチと集めて来た蜜もオレンジ。蜂の巣の六角形、ハニカム構造もデザインのヒントになりそうです。
秋の紅葉も黄色から茶色と少し近いかもしれません。
かぼちゃもオレンジですね。かぼちゃが出てくるデザインといえばハロウィン、黒いシルエットや紫のグラデーションなんかも合いそうな色です。
作例ではオレンジのベースでハロウィン風のデザインを作りました。オレンジに黒と紫、白抜きと黄色で配色をしています。
黄色をベースにしたデザイン
黄色は少しオレンジと被る部分がありますが、思いつくものを挙げていってみましょう。
黄色は信号に色にもあるように、警告を表す色ですね。黒い線と組み合わせて工事現場などでもよく目にする模様がありますね。
はっきりとした黒や赤が組み合わせとして強そうです。
夏のひまわりもきれいな黄色ですね。青空や白い雲との組み合わせが良さそうです。菜の花は桜のピンク色と組み合わさるととても映えますね。
スポーツカーや工事車両、海外のタクシーも黄色というイメージがあります。
出てきたイメージからまたデザインを作ってみましょう。
ここではシンプルに黄色に赤と黒の警告看板をデザインしてみました。赤の代わりに水色に近い青などを差し色に使って爽やかなデザインを作ることもできそうです。
緑をベースにしたデザイン
緑で真っ先に浮かぶのは草花など植物の緑ですね。ひとくちに緑といっても、濃い緑から若草の黄緑色までありますね。木の茶色との相性も良さそうです。
緑茶のグラデーションもきれいですね。緑の植物では竹や笹など日本的な植物もあり、日本茶と組合わさり和風なデザインも思い浮かびます。
緑のロゴを使った社名ではJRやスターバックス、メッセージアプリを作るLINEも緑ですね。組み合わせとして白や黒が使われています。
緑茶と和菓子をテーマに、緑の背景にマッチする茶色を使ったオブジェクトを配置してみました。書体もデザインに合わせ和の雰囲気に寄せています。
青をベースにしたデザイン
青も自然のイメージが真っ先に来て、青空や地球の大部分を占める海や水そのものも青ですね。
海の深いところ、浅いところ、水のゆらぎは白から濃い青までグラデーションを見せてくれます。そらに浮かぶ白い雲と青い空のコントラストもきれいですね。
清涼感や清潔感を感じさせる色でもあり、涼し気なイメージがマッチしそうです。
青空のグラデーションをベースにして、雲のイメージで白抜きと虹のイメージでカラフルなタイトルにしました。白をセパレートカラーとして間に挟むことでいろんな色を使うことができます。
紫をベースにしたデザイン
紫は高貴な色として古くから認識されており、艶やかな妖艶な雰囲気も持ち合わせる色ですね。ピンクのかわいいとはまた違う雰囲気の色です。
化粧品、装飾品、貴金属などの色として使われることも多いですね。自然界ではぶどうやラベンダー、朝顔や紫陽花などの植物が紫です。
紫自体が青と赤が含まれる少し濃い色になるため、他の色との組み合わせが難しく、白や明るい黄色などが合いそうです。
白をベースにしたデザイン
白は無彩色で、何も色を付けていない白い紙やシャツに食器、晴れた日の雲や冬の雪、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、パンやご飯などの炭水化物も白ですね。
他に混じりっ気のない、素材そのものに白というイメージがあり、他のどんな色も受け入れる間口の広さがあります。
そのため、デザインの自由度が高く逆に迷ってしまうかもしれません。いろいろなものを入れることができますが、あえて入れずに余白を活かすのもデザインです。
配色ではなくレイアウトでの表現が重要となるのも白をベースにしたデザインの特徴でしょう。その他の色を入れすぎても白のイメージが消えてしまうので、色を使う面積や組み合わせに気をつけてください。
漫画の吹き出しのようなシルエットで、白地に色は黒一色を使い、ポイント的に赤を使ってデザインしました。
黒をベースにしたデザイン
最後は黒です。黒も白と同じく無彩色ですが、白が余白だったのに対して黒はそのスペースが全て埋め尽くされているというイメージです。
黒の面積を削っていき、白を始めとした他の色で見える部分を増やしていくイメージ。
天使と悪魔でいうと悪魔、ダークサイド、漆黒、闇、冠婚葬祭のフォーマルなイメージも持ちます。
テレビやスマホ、パソコンのモニターのベースが黒であることから、デジタル関連のデザインを表現するときによく使われる色でもあります。
シルエットで表現するか、白に向かうグレーのグラデーションで質感を表現するか。ネオンや金属などと組み合わせて高級感やラグジュアリーな表現も使えます。
作例では黒ベースに文字としての色は白しか使わず、シズル感のある写真とイラストのみで表現しました。必要な素材の要素以外を黒に絞ることで、対象に集中させることができます。
まとめ
今回は色をベースにしたデザインの考え方と具体例をご紹介しました。
ここでは色を起点としたデザインをご紹介しましたが、デザインのアイデアを出すときの基本は連想することです。
引き出しの話にも繋がりますが、普段から色々なものに触れ、柔軟に発想することができるようにしておくと、デザインの幅もどんどん広がっていくでしょう。
まずは好きな色から発想してデザインを作ってみてください。