早く、上手くデザインがしたい
プレゼン資料やチラシなど様々なデザインを作成していると、もっと伝わる資料を作りたい。より訴求効果があり、お客様に来てもらえるチラシを作りたい。デザインもより上手く、早く短い時間で作りたい。そんなことを考えると思います。
早く、上手に、より伝わるデザインを作るにはどうすれば良いでしょうか。そんな疑問にお答えするため、本サイトでは、多くのパソコンにインストールされているプレゼンテーション用ソフトウェア、PowerPointを使ったデザインの作り方、考え方をご紹介します。
デザインにはセオリーがある
良いデザインを作るために初めに知っておいて頂きたいことが、デザインとアートの違いについてです。よくセンスや感覚などといった、なかなか体得できないもの。そんな特別なスキルがデザインをするためには必要だと考えている方がいらっしゃいます。
デザインとアートの違い
自分の中にあるものを表現としてアウトプットし、多くの方に見ていただくアート(芸術)にはそのようなセンス、感覚が必要になるかと思います。本サイトでテーマとするのはデザインです。デザインを作るときには感覚ではなく、ルールやセオリーといった正しく理解していればすぐに使いこなせるものを主に使います。
デザインは感覚ではなく、ロジック(理論)で作るもの。けして特別なものではなく、誰にでも良いデザインを作ることができる。そこが本サイトの目指すところです。
構成要素それぞれのポイントを押さえる
では具体的にどのようにすれば良いデザイン、伝わるデザインを作ることができるのか。そのためにはまず、デザインを構成する要素を確認する必要があります。
デザインを構成する要素を大まかに分けると、3つの要素に分かれます。
この3つの要素それぞれに考え方、セオリーがあります。知識としてそれらをしっかり把握して使うことができれば、すぐにでも良いデザインを作ることができます。
デザイン作成の流れ(ラフ、レイアウト、配色、装飾)
デザインの構成要素が分かったところで早速PowerPointを起動してデザインに取り掛かろう・・・と、したいところですが、いきなりソフトを起動して作り始めてはいけません。PowerPointは便利なソフトですが、考えるためのツールではありません。
まずは紙とペンで考えましょう
また、デザイン作成の流れについても一度立ち止まって考えたいと思います。みなさんは普段デザインの作成をどのように行っていますでしょうか。PowerPointを起動して考えつつ、文字を入力してレイアウト、さらに色を付けて装飾しつつ、さらに考えてレイアウトを変更する。
そんな具合に全ての工程をほぼ同時に行っている方が多いのではないでしょうか。全ての工程を同時に行う、工程間を行き来しながらデザインする。これはとても難易度の高い作り方です。本サイトではデザインの作成を一つ一つ順を追って行うことを強く推奨します。
これは絵を描くこと、家を建てることをイメージしていただくと分かり易いと思います。絵を描くときにはまず、どんな絵を描こうか構想し、白い紙に鉛筆で下書き(デッサン)をしてバランスを整え、色を塗るのも薄く下塗りをして、徐々に濃い色を塗って、後半に陰影を付け仕上げていくと思います。
この工程を同時に行ったらどうなるでしょうか。手戻り、やり直しが発生して修正に余計な時間が掛かってしまったり、場合によっては修正が効かなくなってしまうこともあるかと思います。建築物の場合にはさらにそれが顕著で、作業前にきっちりと設計をし、工程管理についてもしっかりと行うでしょう。
デザインについてもいきなりソフトを起動して作り始めるのではなく、まず使い慣れた紙とペンでどんなデザインにするのか。ラフデザインを書いて考えます。考える作業はPCを使う前に済ませます。これをPowerPointで行ってしまうと、アイデアがソフトウェアの使用スキルに依存してしまうという弊害も生まれてしまいます。
まずは紙とペンを使ってデザインの構想を練り、ラフを書き、デザインの設計をしましょう。それぞれの工程の具体的な方法等は、工程ごとのページで詳しく解説します。まずはデザイン作成工程の全体像を押さえてください。
完成度はレイアウトで8割決まる!
紙とペンを使って考える工程=ラフデザインができたら、PowerPointを起動して実際の作成作業に入ります。ソフトを利用しての作業でも同時に行うことをせず、一つ一つ順に工程を進めていきます。
ラフデザインの次に行うのはレイアウトです。レイアウトは作ったラフデザイン(設計図)に沿って、書体を適切な大きさで、配置をします。必要な図形を作り、写真やイラスト等の素材も適切な場所に配置してきます。
ここでは文字や図形に色を付けません。レイアウトと配色では同様の役割が存在しますが、それぞれの工程を混在させ、デザインを難しくしないようにします。配色と切り離して考えるために白と黒、グレースケールのみでレイアウトをしていきます。
モノクロで作成していくレイアウトの作業ですが、実はこの工程はここまでで完成度の8割が決まってしまうと言っても過言ではない、重要な工程です。良いデザインはモノクロで印刷したとしても内容が伝わるもの。ぱっと見たときのシルエットが重要です。
配色は3つの観点から
絵でいうところのデッサン、レイアウトの作業が終わったところで、モノクロで作っていたデザインに色を付けていきます。どんな色を付けてよいのか迷ってしまう。難しいポイントとして挙げる方が多い配色も、前工程のレイアウトがきっちりできていればさほど難しくありません。
難しいのはレイアウトと配色を同時に行い、本来レイアウトで行うべき問題解決を配色でしてしまうなど、両工程を混同して考えてしまうことです。レイアウトで8割完成していれば、あとはセオリーに則り配色を行えばそのデザインは完成します。
詳しくは配色のページで解説しますが、3つの観点で色を置いていきます。1つ目はメリハリ、2つ目にグループ分け、そして雰囲気付けの3つです。
装飾はあくまでもプラスアルファ
配色が終わったところまででデザインはほぼほぼ完成です。最後に行う装飾はあくまでもプラスアルファ。大切なのは装飾ありきのデザインにしてしまわないこと、最後に行うこと。
装飾の工程は見た目が派手になったり、リッチな質感になるためとても楽しい作業です。そのため、レイアウト段階だったり、配色の途中に装飾に手を付けてしまいがちです。装飾で作品の完成度を上げようとしてしまうと、デザインの本来の役割である「伝える」という部分が抜け落ちてしまいます。
あくまでもプラスアルファとして、最後のお楽しみにとっておきましょう。レイアウトから配色で完成度を100%に、そして装飾で120%の出来にします。
デザインする目的を再確認
デザインを構成する要素と、その作成の流れを見てきたところでもう一つ。デザインをするうえで常に意識していたいことがあります。それはデザインの役割、なぜデザインするのかということ。
デザインの役割は目的を達成すること
アート(芸術)の役割は表現することにより人を感動させること。ではデザインの役割は何でしょうか。それは目的を達成することです。その目的は皆様の状況により様々あると思います。
オフィスの現場でプレゼン資料を作るビジネスパーソンであれば、営業ならお客様への商品やサービスを分かり易く提案、紹介すること。そしてそこから受注へつなげること。
企画職であれば、新しいアイデアを上司や関連企業の方へのプレゼンテーション。ここでは企画を通すこと。商店の従業員であれば、新規のお客様獲得に向けたチラシ等での訴求。そして実際に店まで足を運んでもらうこと。
誰が、何を、それを伝えたうえでどうしてほしいのか
伝わりやすく、理解しやすくデザインしたうえで、さらに伝えた後どのような行動をしてほしいのか。誰(主に自分や所属する企業)が、何をどんな対象者に向けて伝えて、その先まで考えてデザインをする必要があります。
えっ、そこまで考えてデザインをしなければならないの?なんだか難しそう・・・。そんな風に心配される方も多いかもしれません。ですが、そんな心配は不要です。このサイトの記事をしっかり読んでいただければ、全て解決します。
目的を正しく理解し、そのための最適な手法を知る。そうすることでデザインを作るときに迷うことがなくなります。目的を理解すれば自然とどんなデザインにすればいいのかが見えてきます。そして、ソフトの使い方を知ればラクラク作ることができます。
デザイン経験の浅い方は、始めからゆっくり腰をすえて。ある程度ソフトは使えるという方、作り慣れている方は飛ばし飛ばしで結構です。必要な部分だけ、エッセンスの部分だけ。何かしら皆様がデザインをするうえでお役に立てる部分があれば、本サイトを利用してみてください。
見る目を養えば怖いもの無し
もっとデザイン力を付けたい、早く良いものを作りたい
デザインの基本。そして、手法を知った。さらにレベルアップしたい、見栄えのする良いデザインをさらに早く短い時間で作りたい。そんなときには正しくデザインの目的を意識して、数を作ってください。
良し悪しが分かればもう大丈夫
デザインの上達のポイントは見る目を養うことです。良いデザインをたくさん見て、考え、実際に作ってみる。
他人が作ったデザインを見る際に、自分で作ったものとの違いや、良い部分ともう少しこうしたら良いのではないかといったことを意識してみてください。インプットは多ければ多いほうが良いです、数多く見ることで、そのデザインを咀嚼して理解することができ、自分の引出しとなります。
良し悪しが分かるようになればもう大丈夫です。自分が作ったものを自分で批評できるようになれば、時間を掛けることでブラッシュアップすることができます。逆に自分の中での基準が低いままだと、すぐにOKを出してしまい伸ばすことが出来ません。
自分の判断基準を磨くため、人に見てもらうことも有効です。デザインに長けた経験者ほど、良いアドバイスしてくれます。
正しい知識、手法を知ったうえで自らの基準を上げていく。そうすることでデザインは驚くほど上達します。そのために本サイトを存分に活用してください。楽しいデザインの世界に足を踏み入れてください。