PowerPointの操作に慣れ、デザインを日々作っているなかでどうしても煩わしくなってくるのが、リボンのタブを行き来して目的の機能を探すことです。よく使う機能に限って複数のタブにまたがって配置されていたりします。
そんな時に便利なのが、クイックアクセスツールバーです。よく使う機能をまとめてPowerPointのウインドウ上部、又はリボンの下部に置いておく事ができます。
この記事では改めて、デザインを作るときに使用頻度の高いPowerPointの機能と、それらをまとめて一箇所に置いておけるクイックアクセスツールバーの設定方法について解説します。
リボンを行き来して毎回機能を探していませんか?
例えば図形ツールを使ってオブジェクトを作り、デザインをしていく際にも単一の機能を単独で使うのではなく、複数の機能を組み合わせて使います。
デザインは複数の機能を組み合わせて行っている
ホームタブの図形描画欄から任意の図形を挿入して、図形の塗りつぶしや枠線で配色などを行います。さらに、図形を選択している状態で表示される書式タブに移動し、サイズを変更し、整列が必要であれば配置ツールで位置を揃えます。
アクセントをつけるために回転させたり、テキストオブジェクトと組み合わせて使うために、重なり順を前面や背面へ移動するかも知れません。途中に他のオブジェクトを触ることがあれば、さらにタブを行き来しての操作が必要になります。
このように機能を知れば知るほど、入り組んだデザインをすればするほどマウスを動かし、タブを切り替えての操作が必要になります。作業スピードが落ちるだけではなく、ストレスにもなるでしょう。
そこで使っていただきたいのがクイックアクセスツールバーです。それぞれのタブに分かれた機能の中から、任意の機能をまとめて常に表示させておくことの出来る場所です。ここに自分が良く使う機能を登録しておけば、その都度タブを変更することなく、素早くアクセスすることができます。
デザインでよく使う機能をピックアップ
クイックアクセスツールバーには、ほぼ全ての機能を登録することができます。自分が良く使う機能はどの機能でしょうか。
まずはデザインでよく使う機能をまとめて確認しましょう。その中から、よく使うであろう項目を登録してきましょう。
ホームタブにある機能
ホームタブには元々使用頻度の高い機能が集められています。タブを切り替えない限り表示されているタブのため、クイックアクセスツールバーへの登録は不要と思われるかも知れません。
ホームタブの機能をクイックアクセスツールバーに登録することの威力を発揮するのが、別のタブを開いているときです。別のタブを開き、特定の機能にアクセスしているときでも、クイックアクセスツールバーにあればすぐに使うことができます。
また、表示してあっても本当に良く使うものは、まとめて置いておくとより便利に使うことができます。
一つずつみていくと、まずペンキを塗るハケのようなアイコンの「書式のコピー/貼り付け」ツールです。図形や文字などに書式を施した後、他のオブジェクトにも同じ書式を適用したいときに使用します。
次に図形描画にある、全ての図形を表示して作成するメニューも登録しておくと便利です。迷わず新しい図形を作成することができます。
図形を選択している時に使うことのできる機能
次に登録しておくと便利なのが、各種書式設定のためのツールです。文字や図形オブジェクトなどを作成した後には、そのまま使うのではなく、色を変更したり、文字の大きさや種類、枠線の設定などをしますね。
文字の色は「フォント」の欄に、図形の塗りつぶしと枠線の色設定は「図形描画」の欄にそれぞれ分かれています。これらをクイックアクセスツールバーに登録すると、すぐ隣に並べることができます。
さらに図形の書式設定ダイアログボックスを登録しておけば、その他細かな書式設定も一度に設定することができます。その隣には「図形の効果」ツールも登録しておきます。
図形の効果ツールは影を落としたり、周囲に光彩をつけるときに使用しますが、ここに登録しておく意図はそれらの効果を外すのが目的です。
会社で各種資料を作ったり編集していると、過去の資料からの抜粋であったり、別の担当が作った資料を再度加工して使うといったことが多々あります。その際、意図しない効果が掛かっていると、どの効果が使われるのか特定して外すという作業に手間取ってしまうことがあります。
そこで図形の効果ツールを登録しておくと、効果の特定も早く、すぐに元の素のオブジェクトに戻すことができます。
レイアウト機能とメニューを辿らないと使えない機能
次に使用頻度の高く、クイックアクセスツールバーに登録しておくことで威力を発揮するのがレイアウト関連の機能です。
オブジェクトの重なり順を変更するための「オブジェクトの順序」機能を含む、配置ボタン。さらに、配置ボタンで出てくるメニューから辿るか、オブジェクトを選択した状態で表示される書式タブの配置欄から使うことができる、上下左右に揃えるための配置ツール。
さらに同じ書式タブにある、図形の高さや幅を数値指定できるサイズツールや回転ツールも、設定しておくと便利です。
リボンに存在しない機能
PowerPointのバージョンによっては、リボンに存在しない機能もあります。2010のバージョンでリボンに存在せず、クイックアクセスツールバーに登録しておきたいのが図形の合成機能です。
二つ以上の図形を選択した状態で使うと、二つの図形を合体させたり、重なり合った部分をくり抜いたり、重なった部分だけを残してそれ以外の部分を削除することができます。作ることのできる形の幅が大きく広がるので、ぜひ登録しておきましょう。
ショートカットキーを覚えた方が便利な機能
クイックアクセスツールバーはリボンのタブを切り替えずに、一箇所に良く使う機能を置いておく事のできる便利な機能ですが、あくまでもマウスを使ってカーソルを移動してクリックする必要があります。
さらに使用頻度の高い機能に関しては、キーボードショートカットを覚えてしまい、マウスを使う手と反対の手を使ってキーボード操作で済ませてしまうのが良いでしょう。
オブジェクトのグループ化と解除、直前の操作を元に戻す、直前の操作を繰り返す、オブジェクトのコピー、カット&ペースト等は特にショートカットも覚えやすく、使用頻度も高いため、使えるようにするだけで大幅な効率化が見込めます。
グループ解除 Ctrl + Shift + G
直前の操作を元に戻す Ctrl + Z
直前の操作を繰り返す Ctrl + Y
オブジェクトのコピー Ctrl + C
オブジェクトのカット Ctrl + X
オブジェクトのペースト Ctrl + V
クイックアクセスツールバーへ機能を登録する方法
機能のピックアップを終えたところで、実際にクイックアクセスツールバーを設定してみましょう。
リボンメニューから直接登録したい機能を指定する方法から、一覧から機能を選択して登録する方法。さらに、自分の使いやすい順番に並べ替えをする手順までみていきます。
リボンから探して登録する方法
リボンのメニューから直接クイックアクセスツールバーに登録するには、マウスカーソルを登録したいメニューアイコンの上に持っていき、右クリックをします
出てきたメニューの一番上にある「クイック アクセス ツール バーに追加」を選択することで瞬時にバーの右端へ追加されます。
機能を一覧から探して登録する方法
複数の機能をまとめてクイックアクセスツールバーへ登録したい場合や、リボンに無いメニューを登録する場合には一覧から探して登録することができます。
「ファイルタブ」から「オプション」を選択し、PowerPointのオプションウィンドウを表示させます。ウィンドウ左側に並んでいる項目の中から「クイックアクセスツールバー」を選択します。
また、リボン上を右クリックすることで表示される「クイックアクセスツールバーのユーザー設定」を選択することでも設定画面を呼び出すことができます。
クイックアクセスツールバーの設定ウィンドウでは、左右に箱があります。左側で追加したい機能を選択して、中央にある追加ボタンをクリックして右側の箱へ表示させます。
削除したい場合には右側の箱で任意の機能を選択して、中央の削除ボタンをクリックします。
PowerPointには無数の機能があるため、左の箱に初めから表示されているのは「基本的なコマンド」という括りで、全ての機能は表示されていません。
「コマンドの選択」プルダウンメニューから、目的の機能が格納されているタブの名称を選択して、左側の箱に機能の一覧を表示させます。
探している機能がどのタブに格納されているか分からない場合には、「コマンドの選択」プルダウンメニューから「すべてのコマンド」を選択して全ての機能を表示させてください。
機能は数字で始まる機能名から順に並んでおり、アルファベット、平仮名又はカタカナ、漢字の順に並んでいます。漢字の並びは、先頭の漢字の音読み順に並ぶなど、少し癖があるので注意してください。
使いやすい順番に並べ替えをする
必要な機能がひと通り右側の箱に入ったでしょうか。クイックアクセスツールバーには、右側の箱に入っている順で左から並びます。
関連性のある機能同士を横に並べるなど、自分の使いやすい順に並べ替えたい場合、右側の箱で項目を選択した状態で、箱の右側にある上下の矢印をクリックして並べ替えを行います。
以上がデザインを作るときに使用頻度の高い機能と、素早くその機能を使うことのできるクイックアクセスツールバーへの登録方法になります。
PowerPointはまだ使い始めたばかりという方は、それほど登録しておきたい機能は無いかもしれません。それでも使っているうちに、この機能は使用頻度が高いから登録しておこうといった具合に、徐々に増えていくと思います。
使い込むうちに最適な並び順が変わってくるかもしれません。その都度メンテナンスをして、使い込んでみてください。きっと作業効率のUPにつながると思います。